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全国山羊ネットワークは山羊を愛する人たちの団体です

山羊の種類

 山羊の家畜化は犬の次に古く、10,000〜12,000年前に家畜化されたと推定されています。家畜山羊の祖先種は西アジアの山岳地帯に現存する野生のベゾアール山羊だと言われています。
 その後,家畜化されたベゾアール山羊は遊牧民によって東西へ広められました。東へ向かった集団はマルコール山羊(螺旋状に捻れた角を持つ山羊)との交雑を受け,中央アジア,インド,モンゴルあるいは中国の在来種の基礎となりました。
 一方,西へ向かった集団はアフリカ大陸,アラビア半島あるいはヨーロッパ大陸の在来種の基礎となりましたが,アフリカ大陸へ向かったものは途中アイベックス山羊(弓状で一定間隔の結節がある角を持つ山羊)との交雑を受けたと考えられています。
 また,東アジアへ伝播した山羊はカンビン・カチャンと呼ばれ,毛色によって2系統に大別されます。1つは黒色の大陸型山羊で,中国大陸南部,インドシナ半島北部,インド東部,韓国および台湾西部などに分布しており,もう1つは褐色の島嶼型山羊で,東南アジアの島嶼地域,台湾東部および日本の南西諸島・五島列島などに分布しています。台湾にはこの2系統が生息していることから,台湾が2系統の交叉地点であると言われています。
 現在の家畜山羊は形態的にベゾアール型(ヨーロッパの乳用種,アフリカおよび東南アジアの小型肉用種),サバンナ型(インドおよび西アジア乾燥地帯の毛用種)およびジャムナパリ型(インドのジャムナパリ,アフリカのヌビアンなど鼻面が凸隆していて、耳が長く垂れている山羊)の3つに大別されています。

 現在、山羊の品種は500種以上と言われています。用途別では乳用種、肉用種および毛用種に分けられますが、地域によっては肉用種でありながら毛や皮などの副産物も利用され、肉・毛皮兼用種として位置づけられるものもあります。
アジアの中で品種の数が多い国は、中国43種、パキスタン25種、インド20種、インドネシア10種およびネパール7種です。以下、用途別に主な品種について紹介します。


乳用種

ザーネン
 スイス西部のザーネン谷原産で、世界各地で飼養されています。最もポピュラーな品種で、山羊の白いイメージはここから来ています。
 被毛は白色で、無角が遺伝的に優性ですが、有角のものも見られます。肉髯についても持つものが遺伝的に優性です。(肉髯:「にくぜん」と読み、顎の左右に垂れ下っている肉の塊のことを指しますが、その機能についてはまだよく分かっていません)
 体重は雄で70〜90kg、雌で50〜60kgですが雄でまれに100kgを超える大型のものもいます。乳量は500〜1000kg、泌乳期間は270〜350日です。
   

日本ザーネン
 ヨーロッパから輸入したザーネンと日本在来種との交配により1949年に日本で作出されました。
 被毛は白色で、無角で肉髯を持つのが一般的ですが、有角や肉髯を持たないものも見られます。
 乳量は300〜500kgとザーネンに比べ少ないですが、改良により中にはザーネンと遜色ないものもあります。
 腰麻痺に罹りやすいのが欠点です。(腰麻痺:正式には脳脊髄糸状虫症と呼ばれ、蚊によって媒介される病気で起立不能となります)

                                         日本ザーネン(♀)
                              (写真提供:(独)家畜改良センター茨城牧場長野支場)

アルパイン
 スイス、フランスのアルプス地方原産で、世界各地で飼養されています。ブリティッシュおよびフレンチ・アルパインが代表的ですが、近年アメリカン・アルパインが作出され、1996年に日本(宮崎県)へも導入されました。
 被毛は褐色、淡褐色、黒色、灰色あるいは白色を基調として刺毛や黒色の背線を持つものなど多様で、有角または無角です。フレンチ・アルパインには肉髯を持つものがいます。
 乳量は300〜600kgとザーネンの約3分の2程度ですが、アメリカン・アルパインの乳器は改良により左右均称で斉一化されています。








    左:アメリカンアルパイン、右:フレンチアルパイン


トッケンブルグ
 スイス東部のトッケンブルグ谷原産で、世界各地で飼養されています。
被毛は全体的に暗褐色ですが、鼻梁、耳の周囲、四肢および尾端に白斑が見られます。有角または無角で、肉髯を持つものや欠いているものがいます。
体格はザーネンよりもやや小さく、乳量は600〜800kgです。

ヌビアン
 アフリカ東部ヌビア地方原産で、アフリカ、ヨーロッパなどで飼養されています。ヌビアンにはアングロ・ヌビアンとスーダン・ヌビアンがいますが、通常ヌビアンというのは前者を指します。
 被毛は黒色、褐色または黄褐色を基調としてそれぞれの斑紋など多様です。無角で長い垂れ耳を持ち、鼻面が凸隆しています。
 乳量は600〜800kgとザーネンに比べ少ないものの、乳脂率は4〜5%と高いのが特徴です。また、周年繁殖化することにより泌乳期間の延長が可能となります。国によっては乳・肉・皮兼用種として位置づけれているところもあります。
ヌビアン(左:♀、右:♂)











ジャムナパリ
 インド原産で、インド、東南アジアなどで飼養されています。
被毛は黒色、白色、黄褐色あるいはそれぞれのまだらなど多様です。有角で長い垂れ耳を持ち、ヌビアンと同様に鼻面が凸隆しています。
乳用はヨーロッパ種と比べ少なく、250〜400kgです。国によっては肉用種としても利用されています。

ラ・マンチャ
 スペインのムルシア地方原産で、ザーネン、トッケンブルグ、アルパインなどのスイス原産種とヌビアンとの交雑によりアメリカで作出された新しい品種です。
有角または無角で、外耳が短くほとんど無いのが特徴です。
乳脂率がスイス原産種と比べ高いこともこの品種の特徴です。性質は温順で、冬の寒さにも強く、環境適応力が優れています。

オベルハスリ
 スイス西部原産で、被毛は赤褐色、黒色または赤褐色を基調に黒色の縞模様が顔面から頚部、背線、尾にかけて見られるものがあります。有角または無角で、耳は直立しています。
高山環境での放牧に適していますが、泌乳能力にばらつきがあります。
 

肉用種

ボア
 南アフリカ原産で、南アフリカ、中央アメリカなどで飼養されています。有角がほとんどで、鼻面は凸隆し、耳が長く垂れています。
体重は90〜130kgで、平均日増体量も0.15〜0.17kgと肉用山羊の中で最も発育が優れています。性成熟が早く、周年繁殖化することにより2年3産が可能であるうえ、双子率も高いのが特徴です。
ボア(左:♀、右:♂)

カンビン・カチャン
 西アジアから東南アジアへ伝播したベゾアール型肉用山羊の1つで、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾などで飼養されています。
大陸型(黒色)と島嶼型(褐色)があり、被毛に白斑や黒い背線を持つものもあります。有角で肉髯はなく、体重は20〜40kgと小柄です。腰麻痺に対する抵抗性を持ち、周年繁殖が可能です。


スパニッシュ
 スペイン原産で、中央アメリカで飼養されています。被毛は黒色または褐色で、有角と無角があります。
体重は35〜50kgとやや小柄で、脂肪の少ない赤身肉を生産するのが特徴です。国によっては乳肉兼用種として位置付けられています。


クレオール
 スペイン原産で、中南米で主に飼養されています。被毛は白色、黒色、褐色の組み合わせがあり、多様です。有角で、鼻面はまっすぐ、耳はわずかに垂れています。
体重は30〜45kgと小柄です。パストレノはクレオール種の中で最大の山羊であり、伝統的な塩漬け干し肉を生産するためにメキシコ南部で放牧肥育されています。

韓国在来種黒山羊
 前出のカンビン・カチャンから派生したと考えられており、韓国国内各地で飼養されています。被毛はほとんど黒一色(80%以上)ですが、暗褐色のものもあります。有角で肉髯はありません。
体重は15〜20kgです。腰麻痺抵抗性を持っています。
韓国在来種黒山羊(左:♀、右:♂)


日本在来種トカラ山羊
 カンビン・カチャンのうち、大陸型が中国大陸および朝鮮半島を南下したのか、あるいは島嶼型がフィリピン、台湾および沖縄を北上したのか明らかではありませんが、いずれにしろカンビン・カチャンを起源とすることには相違ありません。鹿児島県トカラ列島原産で鹿児島大学、鹿児島市平川動物公園、九州大学などで飼養されていますが、1955年以降、日本ザーネン種の導入により雑種化が進み、トカラ列島に現存する純粋種は極めて少ないのが現状です。
 被毛は淡褐色、黒色を基調として白斑や黒い背線(鰻線)があり、有角で肉髯はありません。
体重は20〜35kgです。乳汁を分泌する副乳頭を持っているため、三つ子が生まれても同時哺乳ができます。周年繁殖が可能で、腰麻痺に対する抵抗性をもつのが特徴です。
日本在来種トカラ山羊(左:♀、右:♂)

日本在来種シバヤギ
 長崎県西海岸、五島列島原産で、独立行政法人家畜改良センター茨城牧場長野支場、名古屋大学、東京大学などで飼養されています。
 来歴はトカラ山羊とほぼ同じですが、被毛は白色がほとんどであり、これは有色の個体を人為淘汰してきたためと考えられます。有角で肉髯はなく、副乳頭を持つものもあります。
 体重は30〜40kgとトカラ山羊よりもやや大きく、周年繁殖し、腰麻痺抵抗性を持っています。

                                         日本在来種シバヤギ(♀)
                              (写真提供:(独)家畜改良センター茨城牧場長野支場)



毛用種

アンゴラ
 中央アジア原産で、トルコ、北アメリカ、南アフリカなどで飼養されています。
被毛は白色で、捻れた角を持っています。産毛量はモヘアとして3〜5kg/頭であり、国によっては毛肉兼用種として利用されています。


                                                                     

                                           アンゴラ
カシミヤ
 中央アジア原産で、中国、トルコ、アフガニスタン、イラクなどで飼養されています。
被毛は白色、褐色、黒色と多様で捻れた角を持ちます。長毛の下に生えるカシミア(またはパッシュミナ)は羊毛やモヘアよりも繊細で、保温性に富みますが、産毛量は0.1〜0.5kg/頭と極めて少ないため、高級綿毛として珍重されています。

(文責 中西良孝)

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